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伊江島のガジュマルから戦争を学ぶ 児童ら平和学習通し、平和への思い強く 沖縄


伊江島のガジュマルから戦争を学ぶ 児童ら平和学習通し、平和への思い強く 沖縄 講師の玉栄飛道さん(中央)と児童たち=5月28日、伊江村立西小学校6年生教室
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 【伊江】伊江村立西小学校で5月28日、6年生を対象にニーバンガズィマール(ガジュマル)講話を実施した。村教育委員会の玉栄飛道さんを講師に招いた。同校では学年に応じた平和学習を実施している。玉栄さんは戦前、戦中、戦後の伊江島と「ニーバンガズィマール」の関わりを話した。

 ニーバンガズィマールの「ニーバン」とは、このガジュマルのある宮城家の屋号である。1945年から47年までの2年間、終戦を知らなかった2人の日本兵が、米兵に気付かれないように木の上で身を潜め生活をしていた。その木がニーバン屋の屋敷に生えていたガジュマルの木だった。玉栄さんは「この実話を基に書かれた絵本『木の上で暮らした2年間』があり、舞台劇『木の上の軍隊』も上演された」と説明した。

 戦争は突然には始まらないことや、少しずつ戦争の準備が始められているので気付きにくいことも児童らに伝えた。海外での出来事にも関心を持ち、信頼できる情報を手に入れることが重要であると指摘。「新聞は信頼できる情報媒体だと思うので、読めない漢字もあるかもしれないが読み慣れてほしい。世界の中のウチナーンチュや世界の中のイージマンチュを意識し、世界には色んな国の人々がいることを知り、相互理解を深めることが大事」と訴えた。

 6年生の児童は「ニーバンガズィマールは沖縄の名木100選にも選ばれた木であることや、この木に2人の日本兵が隠れていたことなど詳しく知ることができた」と感想を述べた。担任の知念和愛教諭は「5月22日には伊江島の戦跡を回った。子どもたちは、自分たちが住む島にこんな場所があり、こんな出来事があったことを初めて知ったなどの感想を記していた。今回の学びを通して、さらに平和に対する思いが強くなっていったらいいと思う」と話した。

 (知念光江通信員)