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農業に情熱懸ける高専生 震災を経験、沖縄へ移住後「ヤギの山学校」で運命の出会い 宜野座村


農業に情熱懸ける高専生 震災を経験、沖縄へ移住後「ヤギの山学校」で運命の出会い 宜野座村 農作業に励む小野覇空真さん(提供)
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 【宜野座】宜野座村松田区の小野覇空真(はくま)さん(16)は今夏、大好きな農業を本格的に始めた。沖縄工業高等專門学校(高専)に通いながら、琉球新報の記事で知った「ヤギの山学校」の上江田武信さん(松田区在住)と、農業と家畜を連携させる「夢活」に乗り出した。

 上江田さんとの絆を“親化(シンカ)”させ、“楽し実(み)”は増す。猛暑も小野さんの情熱には到底及ばない。朝7時から日暮れまで、上江田さんの農場「ピースフルファーム」などで農作業をこなし、「ヤギの山学校」ではヤギを飼育する。

 夏休みには、上江田さんや農家の畑作業を手伝い、対価として仕入れた農作物を道の駅ぎのざ「特産品加工直売センター」で販売を始めた。スーパーバイヤーの勉強も兼ね、必要経費を原価計算して、収益を上げる実益的な農業を実践から学んでいる。収穫のタイミングも上江田さんから習得している。

 小野さんは福島県いわき市の出身。3歳の頃に東日本大震災に被災。母親と2016年に久米島に移住し、アタイグヮー(小さな菜園)に親しんだ。昨年、宜野座村に移住し、上江田さんと運命的な出会いを果たした。上江田さんは勤勉家の小野さんを現代版二宮尊徳だと絶賛する。「農業に懸ける熱意はすごい」と実の孫のように成長を見守る。

 高専ではメディア情報工学科で学ぶ。音楽グループ「島唐辛子」を結成し、三線を演奏。同級生たちにも良い刺激を与えている。目下の目標は、より実践的な農業のために18歳になるのを待って運転免許証を取得することだ。

 将来は、農業とITを融合させた「スマート農業」での社会貢献が夢。「今、1番の幸せは農作物を収穫している時と、売れた時」と、「最幸」な笑顔で語り、意気軒高に炎天下の農場に向かった。

 (池辺賢児通信員)