第58回琉球古典芸能コンクールで、中村怜(れん)さん(22)が舞踊最高部門、中村和(なごみ)さん(17)が同優秀部門と姉妹で合格を果たした。姉の怜さんは、県伝統工芸士会連合会初代会長を務め、藍染めの伝統工芸士で祖父の故・中村孫吉(そんきち)さんが藍染めし、祖母のトヨさんが織った紺地の琉球絣を着用し、雑踊「加那よー」を踊った。怜さんは「緊張した部分もあるが、着物を着けていれば大丈夫と思った。どこかで見守ってくれて、一緒に踊っている感じがしたので、緊張も和らいだ」と振り返る。
怜さんが着用した紺地の琉球絣は、阿波連本流啓扇南風の会の砂川美鈴さんが2001年に舞踊最高部門で合格した時に制作された。制作から20年余りが経過しているが、美しい光沢や赤みがかった深い藍色、柔らかい織りが特徴的だ。砂川さんは「絣の里」である南風原の絣を伝えることや、本物の絣を着用することにこだわりがある。「父や母の思いが乗せられて織られており、絣を着け思いを感じながら踊る。それをまた継承していく」と話す。
怜さんは10月3日、米ニューヨークのカーネギーホールで開かれた「第12回カーネギーホール公演~花と芸術の祭典 Japanese style~Kajiki‘s Show」で「四つ竹」を披露した。
20日から、コンクールの合格者が総出演する古典芸能祭が開かれ、和さんは11月30日の公演で「揚作田」を、怜さんは12月14日に「本貫花」を踊る。和さんは「合格した人らしくきちんと踊りたい」、怜さんは「しっかり感情を込めて踊れるように頑張りたい」とそれぞれ意気込みを話した。
(田中芳)