県勢5人のパリ五輪が10日、アーティスティックスイミング(AS)を最後に全競技で終了した。16歳から39歳まで、最後の最高峰の舞台を味わい尽くしたり、次の五輪へつないだり、それぞれに懸ける思いがあった。6本の試技でメダルを逃した重量挙げの宮本昌典、最後の五輪を特別な地で迎えた自転車ロードレースの新城幸也、控えGKでチームメートのサポートに徹したサッカーの野澤大志ブランドン、途中出場で存在感を示した水球のGK棚村克行、初の五輪で悔し涙を流したASの比嘉もえ。それぞれの戦いを紹介する。
母が石垣島出身の水球のGK棚村克行(ブルボンKZ)は予選初戦こそ出番がなかったが、2戦目の残り時間約5分で投入されて結果を出し、出場機会を増やしていった。予選最終日でプレー時間が最長になり、次々と好セーブを連発して初勝利の立役者となった。
海外リーグでプレーする選手が増え、32年ぶりの五輪出場を果たした2016年リオデジャネイロ五輪とは「比べものにならない」ほど個々の力は増した。初の決勝トーナメント進出を狙ったが、初戦と2試合目を1点差で敗れて勢いがそがれ、4連敗を喫した。
棚村は司令塔として後方からプールに響き渡る声で仲間を動かし、積極的な守備「パスラインディフェンス」を機能させた。「またひとつ成長できた。4年後に向けてやっていきたい」。ロサンゼルス五輪の年は39歳になる。ベテランの活躍に目が離せない。