久高前議長を逮捕へ 県警 市有地巡り収賄容疑 議長室での5千万円授受が事件化


久高前議長を逮捕へ 県警 市有地巡り収賄容疑 議長室での5千万円授受が事件化 久高友弘前那覇市議会議長の自宅マンションに入る沖縄県警の捜査員ら=15日午前7時前、那覇市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 那覇市有地となっている市上下水道局の関連用地を巡り、不動産コンサルタント会社代表=当時=の男性(73)らから現金を受け取り、議長や市議の立場を利用して便宜を図ったとして、県警は15日にも前那覇市議で市議会前議長の久高友弘氏(75)を収賄の疑いで逮捕する方針を固めたことが、関係者への取材で分かった。県警は同日にも、特別捜査本部を立ち上げ全容解明を急ぐ構えだ。久高氏と共謀したとして、水道局関連用地の所有権を主張する90代女性の後見人の女性(71)を同疑いで逮捕し、不動産コンサルの男性ら複数人を贈賄の疑いで摘発するとみられる。

 議長室での現金5千万円の授受発覚から約8カ月、事態は前議長の汚職事件へと発展する様相となった。

 2021年2月、当時議長だった久高氏は市上下水道局の関連用地を巡って、90代女性の義理の娘の後見人女性、不動産コンサル代表の男性らとの間で、土地売買取りまとめに関する費用などとして、5千万円の現金の授受があったとされる。

 久高氏は当初、後見人女性が全額受領したとして自身の受領は否認していた。今年10月、県警の家宅捜索を受けると、一転して自身の現金受領を認めた。

 久高氏と後見人の女性はこれまでの琉球新報の取材に、女性が1千万円、久高氏が4千万円をそれぞれ持ち帰り、久高氏はそのうちの500万円を立会人に支払ったとしている。久高氏は「弁護士代や訴訟費用などに使った」と話し、一部に私的流用があったと証言した。「結局、収賄罪ということになる」と収賄の事実を認める発言もしている。

 久高氏は22年、那覇市議会都市建設環境常任委員会で、議長の委員会出席を認める地方自治法の規定に基づき、複数回出席し、質問を繰り返した。戦後の混乱期に不正な処理で土地の所有権が市に移行したなどと市当局を追及し、百条委員会の設置も訴えるなど土地の所有権回復に向け精力的な議会活動をした。関係者によると、これらが議長や市議の権限行使になるとみられ、現金受領に関連した便宜供与に当たる可能性があるという。