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【動画あり】大浦湾の埋め立て強行 政府、民意顧みず 沖縄県との事前協議なく着手も前倒し 岸田首相「地元に説明してきた」


【動画あり】大浦湾の埋め立て強行 政府、民意顧みず 沖縄県との事前協議なく着手も前倒し 岸田首相「地元に説明してきた」 大浦湾側の資材置き場(ヤード)設置予定地で、石材を投下する重機=10日午後1時8分、名護市(小型無人機で大城直也撮影)
この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報朝刊

 【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設で、沖縄防衛局は10日、軟弱地盤が広がる大浦湾側の埋め立てに着手した。

 サンゴ類の移植が完了せず、実施設計に関する県との事前協議も始まっていない中での着工となった。過重な基地負担を抱える県内にさらなる負担を強いる辺野古新基地建設については、県民投票や全県選挙で反対の意思が繰り返し示されてきたが、政府は顧みずに工事を強行した。

 10日に着手したのは海上の資材置き場(ヤード)を造成する工事。政府は12日に着工する予定だったが、計画を前倒しした。9日には海上ヤードの設置予定地近くで汚濁防止膜を張るなど準備を進めていた。

 10日午前9時40分ごろ、重機と石材を積んだ大型船が臨時制限区域内で確認された。濁りの拡散を抑える汚濁防止枠が設置された後、午後0時16分、重機が海へと土砂を投下した。この日の作業は午後3時半ごろまで続いた。工事に反対する市民らは海上や米軍キャンプ・シュワブのゲート前で「海を殺すな」「新基地建設反対」などと抗議の声を上げた。

 岸田文雄首相は10日、首相官邸で取材に応じ「政府としてこれまでも地元の皆さまにさまざまな機会を通じて説明してきた」と語った。

 大浦湾では軟弱地盤が広がっていて設計変更が必要なため、工事を実施できていなかった。斉藤鉄夫国土交通相が2023年12月に玉城デニー知事に代わって防衛局の設計変更の承認を代執行したことを受け、海上ヤード造成に着手した。政府は工期について10日を起点として9年3カ月とし、飛行場として米軍が使える状態になるまでに約12年かかると説明している。

 政府は海上ヤードの設置は県との事前協議の対象外と判断した。県は対象に当たるかどうか確認している。


 (明真南斗、池田哲平)