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「クース将来に残したい」 きょう9月4日「古酒の日」 視覚障がいの外間さん、専門店オープン 沖縄


「クース将来に残したい」 きょう9月4日「古酒の日」 視覚障がいの外間さん、専門店オープン 沖縄 古酒の魅力を語る外間久生さん=8月29日、那覇市古波蔵(喜瀬守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 狩俣 悠喜

 9月4日は語呂合わせで古酒(クース)の日。視覚に障がいがあり、鍼灸(しんきゅう)院を営む外間久生さん(69)は今年6月、那覇市古波蔵に泡盛の古酒専門店「古酒のまちや ゆくいみそ~れ」を開いた。店内には80銘柄約100本が並ぶ。一番古いのは45年ものだ。若い世代の“泡盛離れ”を憂いつつ、「素晴らしい古酒の魅力を伝え、将来に残したい」と力を込めた。

 外間さんは30歳の時に視野が狭くなる「網膜色素変性症」と診断された。その後、病気が進行し、約20年勤めた会社を退職。県立盲学校に通いマッサージ、針、きゅうの資格を取り、47歳でやすらぎ治療院を開いた。

盲導犬の武蔵と触れ合う外間久生さん(喜瀬守昭撮影)

 古酒好きの外間さんは「自分の子どもや孫においしい古酒を残したい」と約10年前から集め始めた。県内の古い商店を訪ね歩き、売れ残って古酒となった泡盛を買って回った。集めた数は約600本。自宅には古酒のボトルが入った段ボールが所狭しと並ぶ。

 鍼灸院で施術した客に酒屋の経営者がおり、泡盛をボトルで注文する人が減っているという話を聞いた。酒造メーカーに勤める客からも泡盛のボトルの仕入れが減っているという話も聞いた。

 「若い世代が泡盛を飲まなくなった。おいしい泡盛を飲む機会がないからではないか」。泡盛が廃れていくことへの危機感が募った。古酒を集め続け、1人では飲みきれないほどの量になったこともあり、店を開くことにした。

 「古い古酒ほどとろみがあり、ふわっと良い香りがたつ」と古酒の魅力を語る。若い世代に古酒を通して泡盛の魅力を知ってほしいという思いがある。「泡盛や古酒は沖縄の文化であり、かけがえのない宝」。外間さんの言葉は古酒への愛であふれていた。

 (狩俣悠喜)