【動画あり】「陸の孤島」に人口の14倍の600人 池田卓さん企画、宮沢和史さんも出演の音楽祭 西表島・船浮


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雨がっぱ姿の観客の前で熱唱する池田卓さん=15日、竹富町西表島船浮のかまどま広場

 【西表島=竹富】シンガー・ソングライターの池田卓さんが企画する、第17回船浮音祭り(同実行委員会主催)が15日、沖縄県竹富町西表島船浮のかまどま広場で、4年ぶりに開かれた。他地域と道路でつながっておらず、往来は船に限られ「陸の孤島」と呼ばれる人口44人の船浮。雨が降る中、小さな集落に西表内外から人口の約14倍に当たるおよそ600人(主催者発表)が来場した。2度目の出演となる宮沢和史さんが「島唄」を披露するなど聴衆は多彩な音楽を楽しみ、船浮の住民が手作りしたイノシシそば・汁などのグルメも堪能した。

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 船浮出身の池田さんが地域活性化や住民の絆を深めようと企画した。新型コロナ禍での3年連続中止を経て、2019年以来の開催となった。  雨がっぱ姿の観客が見守る中、池田さんが三線を手に、代表曲「島の人よ」などを歌い上げ観客を引きつけた。

 金城弘美さんは「つぃんだら節」などを情感を込めて歌い、林田健司さんは自らが作曲しSMAPがカバーした「青いイナズマ」などを披露した。「しんちゃん」の愛称で親しまれる津波信一さんが司会を務め、軽妙なトークで会場を笑いの渦に巻き込んだ。

 トリを飾った宮沢さんが「島唄」と「風になりたい」を歌うと、ボルテージは最高潮に達した。聴衆は両手を上げて左右に振り、会場は一体感に包まれた。アンコールの「シンカヌチャー」では客が舞台前でカチャーシーを踊って締めくくった。

船浮住民が販売したイノシシそば

 会場の後方には船浮の住民が昨年11月から今年2月の猟期で捕まえ冷凍保存していた約50頭のイノシシの肉を使ったそばや汁が販売され、客は雨でぬれた体を温めた。

 池田さんは「雨だったが皆さんもカッパをかぶり楽しんでくれて大成功。また来年も開催したい」と笑みを浮かべ、宮沢さんは「昔からの人の営みや伝統を維持している奇跡の場所で歌えて良かった」と語った。

(照屋大哲)

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