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沖縄在来のブドウでワイン、恩納村のレストランで醸造開始 来年春にもお目見え


沖縄在来のブドウでワイン、恩納村のレストランで醸造開始 来年春にもお目見え レストランの一角につくられたリュウキュウガネブを使ったワインの醸造施設=26日、恩納村
この記事を書いた人 Avatar photo 池田 哲平

 恩納村でレストラン「オーベルジュ・ボヌシェール・ラウー」を経営する中田浩司シェフ(58)が、沖縄在来のヤマブドウ「リュウキュウガネブ」を100%使用したワインの自社醸造を12月から開始している。10月に国税庁から酒造免許が下りた。店舗内に併設した醸造施設で、年間2千リットルの製造を目指す。早ければ、2024年春ごろから、地産のワインやリキュールが同レストランで楽しめるようになる見通しだ。

 千葉県出身の中田さんは20代で沖縄に移り住み、2006年ごろ、本で沖縄在来のブドウの存在を知ったという。沖縄の原種を使ったワインを店舗で提供すること目指し、恩納村内でリュウキュウガネブの栽培を開始した。経験がない中で妻の朋子さんと農業生産法人・沖縄葡萄(ぶどう)を立ち上げ、10年に初収穫。15年以上にわたり、課題を解決しながら、徐々に収穫量を増加させていった。

中田浩司シェフ

 リュウキュウガネブは県外のヤマブドウと比べて小ぶりなものの、ポリフェノールやレスベラトロールなどの成分が多く含まれている。中田さんは、これまで収穫したブドウを東京ワイナリー(東京都練馬区)に醸造を委託し、ナチュラルワイン「涙(なだ)」を自身の店舗などで提供してきた。

 徐々に認知度も広がり、村や県は23年3月、恩納村産ヤマブドウを原料としたワイン製造に向けて、規制緩和を国に要請。その結果、国家戦略特区の酒税法特例の「ワイン特区」に指定され、醸造免許取得の要件となる最低製造数量が6千リットルから、2千リットルに引き下げられた。規制緩和を受けて、中田さんは10月に果実酒とリキュールの醸造免許を取得、12月14日に本格的に自社醸造を開始した。

リュウキュウガネブ

 中田さんは「ワイン名を『涙』としているのは、うれしい涙、感激の涙を流す場面に寄り添ってほしいとの願いを込めている。沖縄のお酒として、結婚式などうれしい場面に選んでもらえるようにしたい」と話した。

 中田さんと連携している、生産農家の新里えり子さんは「沖縄はお酒文化がある土地柄なので、ワインの選択肢があってもいいと思う。原材料をつくることで、地域を巻き込んだワイン産業の創出を目指していきたい」と語った。

(池田哲平)