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沖縄、国産レモンの一大産地へ可能性 温暖気候は栽培適地 名護で収穫、本格出荷始まる


沖縄、国産レモンの一大産地へ可能性 温暖気候は栽培適地 名護で収穫、本格出荷始まる 本格的な出荷が始まった県産「マイヤーレモン」=7日、名護市中山の農地
この記事を書いた人 Avatar photo 玉寄 光太

 県産レモンの本格的な出荷が始まっている。温かい沖縄はその生産に適しているとして、JAおきなわ(前田典男理事長)は生産者と生産量の拡大を図り、来期10トン、5年後に100トンの生産量を目指し、本年度から出荷に関与し、支援している。JAおきなわ北部地区営農振興センターの和田将弘さんは「国産レモンの一大生産地を目指したい。沖縄にはその可能性が十分にある」と意気込んでいる。

 現在、県内では本島北部地域を中心に約40人がレモンを生産しており、今期は全体で計5・2トンの出荷を見込んでいる。

 これまでは個々の農家がレモンを出荷していたが、本年度からJAおきなわが共同選別(共選)の仕組みを導入。集荷から選別・出荷をサポートする。これによって今期から効率的な出荷が可能となり、今後の生産拡大に弾みをつけたい考えだ。

県産レモンを収穫する渡具知武豊名護市長(右端)、JAおきなわ農業営農本部北部地区営農振興センター農産部野菜果実指導課の和田将弘氏(奥)、農林中央金庫那覇支店の坂本賢修支店長=7日、名護市中山の農地

 2022年度の県中央卸売市場のレモンの取扱量は計180トン。そのうち、県産を含め国産は3トンのみで、98・3%に当たる177トンが外国産だった。多くの外国産レモンが流通している中で、国産レモンは徹底した農薬管理で皮まで食べることができる安全性の高さから、需要は年々高まっているという。

 県産レモンは08年に名護市で本格生産が始まったが、レモンの枝には鋭いトゲがあり、収穫時にけがの恐れがあるため、生産農家がなかなか増えなかった。課題を解決しようと、JAおきなわはトゲの少ない枝を選別し接ぎ木するなど、より安全な栽培の実現に向け試験栽培を実施している。

 また、生産量拡大に向けてJAおきなわは、多くの品種の中から沖縄の気象風土に適し、着果率が高い「マイヤーレモン」の栽培を推奨している。実が多くつくことで木が枯れてしまうこともあるため、適切な管理方法を伝えながら生産拡大につなげることを狙う。

 マイヤーレモンは、年に2回の収穫が可能。9~10月に収穫したものは爽やかな風味と酸味が強いのが特徴の「グリーンレモン」、12~1月は香りが高く豊富な果汁が特徴の「イエローレモン」と呼ばれている。安定的に収穫できるため、農家の所得向上も期待されている。

県産レモンの果実=7日、名護市中山の農地

 今期の出荷はグリーンレモンが2・7トン、イエローレモンは2・5トンの出荷を見込む。前年の台風6号の影響があったものの、生産者の栽培管理で最小限の被害にとどまった。

 名護市中山の農地で7日、24年のレモン初収穫式が催され、JAや農林中央金庫の関係者、渡具知武豊名護市長らが参加した。渡具知市長は「名護産だけでなく、やんばる産のレモンが海外産に取って代わり、レモンの主要産地となることを期待したい」と話した。

(玉寄光太)