「琉球パナマ帽」を幅広い世代に知ってもらうイベントが25日、那覇市小禄のアートギャラリー&ショップホンノパークで始まる。6月9日まで。最新デザインの約100点が展示される。
パナマ帽は戦前の沖縄で盛んに生産され、泡盛や黒糖に次ぐ規模にまで発展した。現在、わずかな職人が作り続けているが、技能継承などが課題となっている。ホンノパークの新城暖プロデューサーは「多くの人が手に取り、素材の良さやファッション性を実感してほしい」と呼びかけている。
琉球パナマ帽は乾燥させたアダンの葉を手作業で編んで作られる。かつては高級品として海外に輸出されたが、沖縄戦やアダンの乱獲もあり産業は衰退した。2000年代に職人は3人にまで減り、消滅の危機にあった。
2010年ごろ、帽子ブランド「MAISON Birth」(メゾンバース)などを運営する「PERIODOS」(ピリオド、東京都)代表の清原世太さんがファッション性などに着目。沖縄に通い、商品化などを重ねる中、2021年に復刻と普及を目指すプロジェクトを新城プロデューサーらと共に立ち上げた。
イベントでは型やサイズ、リボンなどを選んで購入することも可能。オーダー後に手作業で制作するため、帽子の受け渡しは2、3カ月後を予定している。26日には職人を招いたワークショップも開催予定で、アダンの葉を使用し、小物やアクセサリーなどの製作を体験することもできる。
新城プロデューサーは「まずは琉球パナマを多くの人に知ってもらうことがスタート。職人の担い手を増やし、アート性やファッション性を高め、将来的には伝統工芸の枠を超えた新産業につなげたい」と語った。
(当間詩朗)