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クスッと笑える、ユニオン店内放送 買い物に独自の「エンタメ色」 ロピアとのFC戦略で“発見”も<小売烈戦ー激変の沖縄市場>7


クスッと笑える、ユニオン店内放送 買い物に独自の「エンタメ色」 ロピアとのFC戦略で“発見”も<小売烈戦ー激変の沖縄市場>7 ユニオン店内のグッズコーナー。人気商品のTシャツは外部から取り扱いの希望が多いが、ユニオンの店舗、ECサイトのみで展開している=6日、宜野湾市の普天間店
この記事を書いた人 Avatar photo 當山 幸都

 「ピンポンパンポン。あい、レジが混んでいる。かぎやで風みたい。カチャーシーにしてね~」。

 野嵩商会(宜野湾市)が展開する「フレッシュプラザユニオン」では、レジが混み合うとこんな店内放送が三線の演奏と共に流れる。声の主はうちなータレントの津波信一さんだ。従業員の応援を呼ぶ音声の代わりに、ストレスになりがちなレジ待ちの時間を楽しんでもらおうと取り入れた。他にも、店内に豆腐が並ぶと流れる「これからだいず(大豆)なだいずな話をします」などのバリエーションがある。

 店舗の三角屋根をモチーフにしたキャラクター「ユニポン」誕生や、TikTok(ティックトック)での情報発信など、ここ数年だけでも買い物体験を楽しませる独自のエンタメ色を存分に打ち出すユニオン。野嵩商会の仲村知充専務は「他のスーパーがやらないようなことをどんどんやっていかないと、これからの小売りはお店に来ていただけない」と強調する。

ユニオンアプリに導入する口座から直接チャージ機能をPRする(左から)野嵩商会の真喜志康二さんとユニポン、沖縄銀行の松本亜希さん=2024年1月31日、那覇市の琉球新報社

 面白いアイデアはすぐ実行に移す。従業員の制服の議論から始まったユニオンTシャツは、今ではグッズ商品として全店で陳列する。オリオンビール、ブルーシールなど「企業ロゴTシャツ」のブームで県内の土産店から取り扱いを希望する声は多いが、直接店舗に足を運んでもらおうと、あえて拡販せずユニオンのみで扱っている。

 食品スーパー・ロピアとのフランチャイズ(FC)契約も「ユニオンにしかできないこと」を突き詰めた試みの延長線上にあった。「ロピアが掲げる『食のテーマパーク』には共感できた。遊び心や、何か知らないけどお店の雰囲気がいいよねという感覚を大事にしたい」

国際通りに県内1号店を構えた食品スーパーのロピア=3月、那覇市安里

 3月からの「ロピア沖縄国際通り店」の運営は、ユニオン側に多くの気づきをもたらしている。その一つがロピアが強みとする精肉だ。豚肉文化の沖縄にあっても、沖縄国際通り店は国産を含む牛肉の構成比が高く、売り上げにも反映されている。仲村専務は「沖縄は輸入牛がメーンで、スーパー各社で国産和牛の扱いは少なかった。売れないという固定観念があり提案できていなかった」と話す。

 野嵩商会の年商は330億円(2023年3月期)。現在、県内で展開するユニオン20店舗は本島中南部に集中する。22年に始めたユニオンアプリは限定の日替わりクーポンや1円クーポンに独自性やお得感があり、ダウンロード数は16万件を超えた。県内地銀の口座からのチャージ機能を追加して利便性を高め、デジタル化による顧客の囲い込みが奏功している。

 新たにロピアFCが事業戦略に加わったが、ユニオンの既存店の売り上げに影響は出ていないという。仲村専務は「まだまだ進出できていない地域がある。ユニオンでも違う業態ができる可能性はあるし、出店はどんどん進めたい」と今後を見据える。

 (當山幸都)