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「泡盛」ユネスコ登録へ 世界に冠たる島酒に 飲食、観光への波及期待 各団体、歓迎の声相次ぐ


「泡盛」ユネスコ登録へ 世界に冠たる島酒に 飲食、観光への波及期待 各団体、歓迎の声相次ぐ 蒸した米に満遍なく黒麹菌の種をつける職人=那覇市の宮里酒造所(2022年)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 泡盛を含む日本の伝統的酒造りについて、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産登録が勧告されたことに、関係団体からは歓迎の声が相次いだ。2004年をピークに減少傾向にある泡盛。登録を起爆剤に再び振興発展へ、さらに泡盛だけでなく飲食業や観光業などへの波及を期待する声もあった。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「泡盛の価値が国際的にも高く評価されることはうれしい」と歓迎し、インバウンド(訪日客)の誘客強化を見据える。琉球料理をはじめ、さまざまな料理との組み合わせが大事だとして「お酒をあまり飲まない人や強いお酒を好まない人など、幅広いお酒の飲み方に対応した提案が求められる」と話した。

 県工業連合会の古波津昇会長は「沖縄では身近な『島酒』だが、同時に世界に冠たるお酒になる」と喜んだ。「名実ともに世界のスタンダードになるために、東京などでも泡盛が飲みたければどこでも飲めるほどに広げてほしい」と期待した。

 県商工会連合会の米須義明会長は「沖縄の製造業でも、泡盛は歴史文化を含めて特別な存在。県外や世界にも出していける。波及効果は大きい」と喜んだ。「各地の酒造所は全てわれわれ商工会の会員だ。泡盛だけでなく、琉球料理や観光を含めて一緒に盛り上がる」と期待を寄せた。

 「泡盛のラベルにユネスコの文字が使えることも大きく、世界の方々に訴求でき海外展開もしやすくなる」と歓迎するのは、県泡盛同好会の会長を務める県産業振興公社の末吉康敏理事長だ。「何よりも沖縄の皆さんが泡盛に誇りを抱き、ますます愛され世界の銘酒として広がることを期待したい」とコメントした。


 <用語> 泡盛 沖縄の伝統的な蒸留酒。主に黄麹(きこうじ)や白麹(しろこうじ)が使われる焼酎や日本酒に対し、泡盛は黒麹(くろこうじ)菌のみを用いるのが特徴。黒麹菌のみの酒造りは世界的にも珍しい。主にタイ米を原料に黒麹菌で米麹にし、酵母でアルコール発酵させたもろみを単式蒸留器で蒸留して製造する。発酵の工程は「全麹仕込み」と呼ばれる。15世紀ごろシャム(現在のタイ)から蒸留技術が琉球に伝わったのが起源とされる。名称の由来は、以前は原料に粟(あわ)が使われていたためとの説や、蒸留時に生じる「泡」でアルコール度数を計ったという説など複数ある。

(島袋良太まとめ)