登録されるのは麹(こうじ)菌や日本独特の酒造りだが、特に沖縄は固有の黒麹菌を使って泡盛造りをしている。泡盛は日本の中でも最も古い蒸留酒で(東南アジアから経由して)九州の焼酎にもつながった。
コメで造る酒は海外にも多くあるが、熟成して古酒にさせるのは泡盛だけだ。泡盛には600年の歴史がある。沖縄戦では黒麹菌も壊滅的な打撃を受けたが、先人たちが黒麹菌を見つけ出し、守って残してくれた。私たちも後世に残していく使命がある。
泡盛文化を次世代に広げるきっかけにしたい。沖縄の人たちの誇りになるといい。足元にこのような魅力ある文化があると実感してもらいたい。
県外や海外への発信強化にもなる。
酒造所を訪ねて好みの泡盛を買い、自宅で熟成させることを楽しむ観光メニューもあっていい。
外国人は「トラディショナル(伝統)」を高く評価する。ユネスコから無形文化遺産に認定されれば大きな後押しになる。
<用語>泡盛
沖縄の伝統的な蒸留酒。主に黄麹(きこうじ)や白麹(しろこうじ)が使われる焼酎や日本酒に対し、泡盛は黒麹(くろこうじ)菌のみを用いるのが特徴。黒麹菌のみの酒造りは世界的にも珍しい。主にタイ米を原料に黒麹菌で米麹にし、酵母でアルコール発酵させたもろみを単式蒸留器で蒸留して製造する。発酵の工程は「全麹仕込み」と呼ばれる。15世紀ごろシャム(現在のタイ)から蒸留技術が琉球に伝わったのが起源とされる。名称の由来は、以前は原料に粟(あわ)が使われていたためとの説や、蒸留時に生じる「泡」でアルコール度数を計ったという説など複数ある。