沖縄県は沖縄防衛局に出したサンゴ移植許可撤回の通知文に、防衛局が処分に不服であれば、(1)3カ月以内に農水相に審査請求(2)6カ月以内に処分取り消し訴訟を提起―が可能だと示した。国は何らかの対抗措置を取るとみられ、これまで辺野古新基地建設を巡って行ったことがある審査請求に訴える可能性がある。県の撤回が短期間で無効化されることも予想される。
審査請求は、農相に審査を申し出て、農相が撤回の執行停止や取り消しを判断することができる。その場合、県が許可を撤回する前の状態に戻り、移植を実施できるようになる。それに対し、県は農相の執行停止の取り消しを求めると想定され、その場合は国との訴訟などに移ることになる。その間は取り消しが有効なため、移植を継続できる状態となる。
審査請求は埋め立て承認撤回の取り消しで国側が取った手法だ。県が2018年8月に埋め立て承認を撤回したが、国交相が同10月に撤回の効力を停止した。撤回後、基地建設工事は一時停止したが、2カ月程度で再開した。
一方、取り消し訴訟は6カ月を期限とし、許可撤回の妥当性を那覇地裁に提訴する。どちらの措置も国が取らなかった場合、県の移植許可撤回が確定する。国はサンゴ移植を「県の条件を守っている」としており、今回の許可撤回をそのまま受け入れる可能性は低い。
(塚崎昇平)
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