菅首相と沖縄 「粛々と新基地」に憤り 名護市辺野古周辺住民 振興策評価の声も


この記事を書いた人 Avatar photo 山城 祐樹

 菅義偉首相が3日に退陣する意向を表明した。官房長官時代から米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設や米軍基地跡地利用などにかかわり、何度も沖縄を訪れた。「民意無視、最悪の政権」「沖縄にひどい仕打ちをしてきた」。新型コロナウイルスが感染爆発する中、突然の事態に県民からは厳しい批判や非難が渦巻く。一方で「やることはやった」と同情する声も上がった。 

 【北部】自民党総裁選に出馬しない意向を示した菅義偉首相は官房長官時代、沖縄基地負担軽減担当を兼務し、新基地建設を主導する一方、県北部の振興策などに取り組んできた。米軍普天間基地の移設先である、名護市辺野古周辺の住民の評価は分かれる。「残念だ」と惜しむ声が上がる一方、新基地建設を強行する姿勢を非難する声も上がった。

 「いい政治家だ」。辺野古区行政委員の島袋権勇元市議は退陣を惜しむ。菅氏とは何度か面会したことがあるという。米軍キャンプ・シュワブに隣接する久辺3区のため菅氏が尽力したことを振り返る。「地元からの要望があれば、しっかりと聞いて調整してくれた」と述べた。

 豊原区の宮城直美区長も菅氏と面会したことがある。「残念だ。頑張ってもらいたかった」と述べ、「北部地域の振興策に取り組んでくれた」と評価した。

 辺野古区の金城武政さん(64)は「(基地建設に)反対する声に耳を傾けず工事を強行した」と菅氏の姿勢を非難する。今でも「粛々と進める」発言に憤りを感じている。「県民の民意を奪った権力乱用の首相だった」と語気を強めた。

 名護市辺野古の新基地建設反対を訴えてきた「命を守る会」(2015年解散)元代表の西川征夫さん(77)は「これまでずっと、県民をあざ笑うかのようなやり方をしてきた。今後どういった政権になるにせよ、県民に寄り添うような政権を目指してほしい」と力を込めた。

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