【東京】在沖米海兵隊が8月、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場から有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)を含む汚染水を処理して県内の公共下水道に放出した問題に関連し、政府は17日、普天間飛行場内の格納庫地下貯水槽に残る未処理の汚染水を全て防衛省が引き取り、焼却処分すると発表した。引き取る汚染水の量は36万リットル(一般的なドラム缶1800本分)、費用は約9200万円を見込む。米軍による汚染水のさらなる放出は当面回避される見通しとなった。一方、本来は米軍が自ら負担すべき処理費用を日本の税金で賄う、異例の措置となる。
日米両政府で一致し、防衛、外務、環境の3省が17日に連名で発表した。
日米はまた、普天間飛行場にある地下貯水槽への雨水のさらなる流入を防ぐため、航空機格納庫の補修を日本の費用負担で行うことでも一致した。
今回見込んだ汚染水の量や費用は、米側の申告に基づくもので、今後、確認を進める中で変わりうるとしている。
一方、政府は汚染水処理は本来、米側が自ら負担して実施すべきだとの立場だ。今回の対応は、台風などの影響で地下貯水槽に漏水が入り込み、あふれる懸念に対する「緊急的な暫定措置」だと強調した。
他の米軍基地でもPFASを含む汚染水が保管されている可能性があるが、普天間飛行場以外の対応は未定。防衛省は汚染水について、「関連する合意や権限に従い適切な措置が講じられるよう、引き続き米側と緊密に連携する」とした。
普天間飛行場内の汚染水について米軍は7月8日に報道発表し、処理した上で放出したい考えを示した。処理水の汚染物質の濃度はPFOS、PFOA合わせて1リットル当たり50ナノグラム以下と定めた
「日本の飲料水基準に完全に準拠している」と安全性を強調した。
海兵隊は8月26日、独自の処理方法でPFASを低減したとして公共下水道へ6万4千リットル(ドラム缶320本分)を流した。直後に宜野湾市が下水から採取した水からはPFASが高濃度で検出された。特に発がん性などのリスクが指摘されるPFOSとPFOAは国の暫定指針値(両物質の合計が1リットル当たり50ナノグラム)の13・4倍に当たる670ナノグラムに上った。
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