【金武】沖縄県金武町の水道水の水質調査で暫定指針値を超える有機フッ素化合物(PFAS)が検出された件で、町は昨年7月に結果を把握していたが、これまで公表してこなかった。地元住民からは「説明が遅すぎる」など対応を疑問視する声が上がった。
「ありえない」。70ナノグラムのPFASが検出された金武区で、琉舞道場教師を務める吉田真和さん(40)は驚きを隠せない。「分かった時点で公表し、どの程度人体に影響を及ぼすのか積極的に行政が説明すべきだった」と語気を強める。今年9月に地下水源から有機フッ素化合物の検出が判明した際は、注意喚起のため道場の生徒に新聞記事を共有したという。
50ナノグラムを検出した並里区の30代男性は「行政不信につながりかねない」と指摘する。「子どもがわき水を浴びるのを見ると少し不安になってしまう」と声を落とした。
金武区に住む40代女性は「町が隠したつもりはないとしても、町民に説明していないのだから結果的には隠したのと同じだ。裏切られた気持ちだ」と語る。「水道水は生活に欠かせないからこそ、迅速に公表し安全基準などを説明してほしかった。その上で水道水にどう対応するかは、町民一人一人が判断することだ」と話した。
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