<辺野古不承認の深層>「切り札」なぜこの時期に? 選挙と議会、沖縄振興予算…


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記者会見を終えた玉城デニー知事=25日午後、県庁

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局が設計変更を認めるよう県に申請した2020年4月から1年半以上、審査を続けていた玉城デニー知事は25日、申請を不承認とした。玉城県政にとっては、新基地建設阻止に向けた「切り札」だ。沖縄防衛局は県の承認を得ない限り、埋め立て工事を完了させることができないため、速やかに対抗措置を取る構えだ。

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 当初から新基地建設に反対する玉城知事が計画変更を認めない見通しで、その判断時期が焦点だった。10月末の衆院選前から、玉城知事に早く不承認とするよう求める声が支持者の一部から上がっていたが、県は裁判闘争を見越した「理論武装」(知事周辺)を優先した。

 衆院選では、新基地建設問題が新型コロナウイルス対策や経済回復に埋もれたと悔やむ声も「オール沖縄」勢力内にあった。来年1月の名護市長選や秋の知事選では、明確に辺野古新基地建設の反対を訴えていく方針を「オール沖縄」は確認している。

■選挙と議会

 名護市長選まで2カ月を切ったタイミングでの不承認に、政府関係者や県政野党は「選挙で有利になるのを狙ったのではないか」などといぶかしがる。

 一方、玉城県政は、選挙への配慮を否定し、大規模な設計変更で論点が多岐にわたるために長引いたと説明する。審査が年末まで掛かるとの見通しもあったが、県議会11月定例会が始まるまでに判断を示し「説明責任を果たす」(県幹部)必要があると考え、不承認に向けた審査を急いだという。

 年末の表明になると、次の定例会は2、3カ月後となり、議会軽視と批判される恐れがあった。仲井真弘多元知事が定例会終了後の年末に埋め立てを承認したことで、当時の野党が反発し、年明けに臨時会を要求する事態となった。

 県幹部は「議会で論戦すべきだと考えた。仲井真元知事の時はなかったが、今回は議論したい」と胸を張った。

■予算と振計

 12月は次年度の沖縄関係予算編成や、沖縄振興計画継続に向けた国への要請が相次ぐ見込みで、この時期に国との緊張を高める不承認としたことに、懸念の声も上がる。

 松川正則宜野湾市長は記者団に対し、「要請活動で政府の高官や大臣らから前向きな発言もある中で、水を差さないか。今じゃないんじゃないかな」と語った。

 予算や振興計画への影響について、玉城知事は25日の記者会見で「基地と振興はリンクしない。振興は振興として、国土の発展のために重要だ。基地問題の賛否で住民生活や地域の発展が阻害されることがあってはならない」と反論した。

 玉城県政が不承認とすることは既定路線だったことから、政府は以前から対抗措置に向けて準備してきた。政府関係者は対抗措置について「間髪入れずにやる」と語った。

 (明真南斗、池田哲平、大嶺雅俊)
 


 新基地建設を巡り、玉城デニー知事は25日、沖縄防衛局による設計変更を不承認とした。不承認の背景や今後の流れを描く。


 

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