名護市辺野古の新基地建設を巡り、県が沖縄防衛局の設計変更申請を不承認としたのに対し、国側は今後、新基地建設の完成のため対抗措置を取るとみられる。国側の対抗措置について、玉城デニー知事は「取り得る対応をしっかり取っていく」と述べ、争う姿勢を示した。辺野古を巡る国と県の訴訟はこれまでに9件起こされたが、今回もさらなる法廷闘争に発展する可能性が高い。
国側の対抗措置の一つとして想定されるのが、防衛局が行政不服審査制度を使い、国土交通相に不承認を取り消すよう審査請求する手法だ。2018年8月に県が埋め立て承認を撤回した際も防衛局は審査請求し、国交相が承認撤回を取り消す裁決を下した経緯がある。
防衛局の手法は「私人なりすまし」で、制度の乱用だとの批判が多くの専門家から上がった。県も国交相裁決の違法性を訴え、2件の訴訟を起こしたが、1件は最高裁で敗訴が確定し、係争中のもう1件も一審那覇地裁で敗訴している。ただ、国交相裁決は、県の不承認の取り消しにとどまる。新基地建設の完成には県の承認が不可欠で、県側に判断が戻ってくる形となる。
国交相が不承認を取り消して承認するよう県に是正指示をすることも考えられる。その場合、県は是正指示に対して、国地方係争処理委員会に審査を申し出ることが予想される。係争委の結果により、訴訟に移る流れもある。
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