米軍普天間飛行場の移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄県は25日、沖縄防衛局から提出された軟弱地盤改良工事などの設計変更申請について、軟弱地盤の調査の不備や、環境保全への措置が不適切だとして「不承認」と判断し、同局に通知した。玉城デニー知事は同日夕、記者会見を開き、沖縄防衛局に対して「本来、事業実施前に必要最低限の地盤調査を実施せず、不確実な要素を抱えたまま、見切り発車した」と指摘した。現在、進められている工事を含め、全ての埋め立てを中止すべきだと訴えた。
県が設計変更を不承認としたことで、沖縄防衛局は軟弱地盤がある大浦湾側の工事ができない状況となる。ただ、沖縄防衛局は県の不承認を無効化しようと、行政不服審査法に基づく審査請求など、対抗措置を取るとみられる。その後、県は対抗措置の違法性を訴え、法廷闘争に移行する見通しだ。
県の説明によると、設計変更申請書は、埋め立て予定海域の軟弱地盤が最も深い水面下の約90メートルに達する地点について、直接試験したデータを採用しておらず「災害防止に十分配慮した検討が実施されていない」と指摘した。
工事がジュゴンに及ぼす影響についても水中音の調査などが実施されておらず、環境保全措置の検討が不十分だとした。
玉城知事は沖縄戦戦没者の遺骨が混じる可能性がある本島南部の土砂の使用について「十分な説明を行わないまま一方的に、強権的に埋め立て工事を強行する姿に、不安、憤り、悲しみを感じている県民、国民が数多くいる」と訴えた。
また、防衛局の調査や手続きの不備によって、工期を大幅に延ばさなければ、埋め立て工事を完成させることができなくなり、当初の想定を上回る膨大な経費を追加せざるを得なくなったとも指摘した。
沖縄防衛局によると25日午後4時40分、県職員から不承認に関する通知書を受け取った。取材に対して、防衛局は「まずは不承認処分の理由の精査を進めていくことになる」と回答した。
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