金武町の水道水からまた有害PFAS 水源2カ所でも国指針超…基地立ち入りは実現せず


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 【金武】金武町が2月に実施した水道水の検査で、有害な有機フッ素化合物のPFAS(ピーファス)が国の暫定指針値を超える59ナノグラム検出されたことが3日、分かった。同じ浄水場の水道水から、2020年6月にも指針値を超える70ナノグラムが検出されており、今回で2度目。米軍キャンプ・ハンセンが汚染源の可能性があることから、県や金武町は立ち入り調査を認めるよう日本政府を通じて米軍に求めているが、実現していない。

>>有害物質PFASとは?以前はフライパンにも…

 国は暫定指針値を「PFOS・PFOAの合計が1リットル当たり50ナノグラム」と定める。

 町は浄化した地下水と県企業局水を混合して水道水を供給しており、7~8割を県企業局水が占める。町によると2月21日に採水した3カ所の水道水のうち、金武区の1カ所で59ナノグラムを検出した。同区の水源6カ所のうち2カ所では180ナノグラムを記録した。

 暫定指針値を超えるPFOS・PFOAの検出を受け、町はこれまでに地下水源5カ所からの取水を停止している。

 今回の検査結果を受けて町は今月2日までに、180ナノグラムを検出した地下水源2カ所のうち、1カ所の稼働を新たに停止した。現在、水源6カ所の水質を再検査している。4日に判明する検査結果で暫定指針値を下回る数値が出た場合は、取水を再開できるか検討する。

 町は2023年度中の県企業局水への全量切り替えへ送水管の整備を急いでいる。仲間一町長は「町民に再び心配を掛けて申し訳ない。指針値内に収める努力を続けるとともに、国に対し基地への立ち入り調査と町民の健康調査を引き続き求めていく」と語った。(岩切美穂)


 

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