
12日に伊江島空港で墜落したNPO法人メッシュ・サポートの小型機は、2021年度に142件の急患搬送を担ったほか、伊江村立診療所へ107回の代診医師の派遣を実施していた。今後は県のドクターヘリの運航回数増加による負担増が見込まれ、北部地域救急・救助ヘリの休止も含めた活動自粛期間が長期化することによる離島の診療体制への影響も懸念される。
メッシュ・サポートのホームページによると、小型機は奄美諸島から与那国島まで、半径700キロを活動範囲としてきた。北部広域圏事務組合が事業主体となり、メッシュが運航する「北部地域救急・救助ヘリ(やんばるレスキューヘリ)」の活動範囲は沖縄本島北部を中心に半径50キロ、県のドクターヘリは「本島全域」「本島周辺離島」となっており、メッシュの小型機が運航する範囲が最も広かった。
さらに同小型機は、急患搬送だけではなく、専門医の派遣や代診医師の派遣なども担い、離島医療を下支えしていた面もあった。

メッシュの小型機の運航は直近で17年4月~18年2月の間、資金難などによって停止したこともあった。その影響もあり、県ドクターヘリの運航回数は、17年度と18年度に数十回程度増加している傾向がみられた。
県は多数の傷病者が発生した場合の想定など、ドクターヘリの運航計画に関する会議にメッシュ側にも参加してもらい、相談しながら急患搬送事業を進めてきた。
県の担当者は「県のドクターヘリで沖縄本島や周辺離島の搬送はカバーできる。先島についても自衛隊や海上保安庁に対応をお願いしている。直ちに急患搬送で大きな影響はない」と説明する一方で、「メッシュとすみ分けをしていた部分もあり、対応を考えていかなければならない」と述べた。
事故を受け、県営の伊江島空港の運用は一時的に止まっている。県空港課によると、定期便は就航しておらず、主に同法人が利用していた。同法人が航空機の運用を自粛する間、陸上自衛隊などの緊急患者空輸が補う見通しだが、伊江村が管理するヘリポートもあり、島への離着陸は可能だと説明としている。
(池田哲平まとめ)
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