辺野古設計変更への県不承認、国が取り消し 20日までの承認迫る 知事は対抗策検討へ


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名護市辺野古の新基地建設の現場

 【東京】米軍普天間飛行場移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、斉藤鉄夫国土交通相は8日、沖縄防衛局が提出した埋め立て工事の設計変更を不承認とした県の行政処分を取り消す裁決をした。辺野古移設を進める防衛省の主張を支持し、防衛局の設計変更を20日までに承認するよう求める地方自治法に基づく勧告も併せて出した。これに対し玉城デニー知事は「裁決書を精査した上で対応方針を検討する」と記者団に述べ、国地方係争処理委員会での審査申し立てや抗告訴訟など対抗策の検討に入る見通しだ。

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 大浦湾側で見つかった軟弱地盤の改良工事を追加した設計変更に対し、県は防衛局の申請内容では埋め立ての要件となる安全性を満たしているとは言えないなどとして、設計変更を不承認とした。防衛局は2021年12月、県の不承認を不服として行政不服審査法に基づいて国交相に審査請求し、工事の妥当性が争点となった。

 斉藤国交相は裁決書で「(改良工事が)規模的に前例がないと言えず、技術的に確実性がないとも言えない」などと述べ、県が指摘する工法や調査の不備などを否定した。環境全体に及ぼす影響も「設計変更の前と比べて同程度かそれ以下」と評価した。

 その上で、申請を不承認とした県の処分は「裁量権の範囲を逸脱し、または乱用したもので違法かつ不当」と結論付けた。 (明真南斗)


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