基地「本土並み」遠く 沖縄復帰50年で玉城知事 自立経済「道半ば」 各社合同インタビュー


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 玉城デニー知事は9日、沖縄の日本復帰50年の節目に合わせて県庁で報道各社の合同インタビューに応じ、0・6%の国土面積の沖縄に在日米軍専用施設面積の70・3%が集中する現状に対し「(基地の)『本土並み』という復帰時に県民が期待した状況とは程遠い」と強調した。

 日本復帰については、社会インフラ整備が集中的に進んだとして「何十年も断水などはなく、全国水準以上の環境も整ってきた」と一定評価した。一方、1人当たり県民所得の全国最下位が続いており「県民が求めてきた自立型経済の構築については、まだ道半ばだ」と指摘した。米軍基地の整理縮小が進展しない現状について、日米の政府間だけで物事を進める構図が問題だとして「基地所在自治体の意見もしっかりと聞くべきだ」と訴えた。

 復帰などの歴史継承については「先人たちが自治権獲得や祖国復帰運動などを通し、子や孫たちのためにウチナーンチュの誇りを貫いた延長にある」として県としても取り組む姿勢を示した。

 ロシアのウクライナ侵攻を機に、防衛力強化を唱える声が高まっていることには「力による現状変更に対して力を持つべきであるという議論は、偶発的な衝突を誘発しないか危惧している。沖縄が攻撃目標となるような事態は絶対にあってはならないし、そういう方向性を高める動きは認められない」と強調した。
 (梅田正覚)

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