宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで15日に開かれた沖縄復帰50周年記念式典では、粛々と要人があいさつを読み上げた。玉城デニー知事は基地の過重負担に触れつつも、米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設に触れることはなかった。出席者からは「式辞とはいえ、知事には移設に反対する県民の思いをもっと盛り込んでほしかった」と批判的な見方があった。一方で「式典はお祝いであり、将来へのステップ。注目するのは基地問題だけではない」と評価する声もあった。
沖縄ハンセン病回復者の会の平良仁雄共同代表は「復帰以後、経済は変わったが基地問題は変わらず残った。ならば、重要な辺野古移設について知事は県民が納得する言葉を語ってほしかった」と、何度も繰り返した。
人権と女性の地位向上を目指す国際ソロプチミスト沖縄で役員を務める70代の女性は「米軍基地は全国で平等に負担するべきだ。本当は『辺野古』についても触れてほしかった」と残念そうに語った。
知事と岸田文雄首相が式辞で、国と県が協力して社会経済を発展させていくとの趣旨を盛り込んでいた点を評価したオリオンビールの嘉手苅義男会長は「首相は沖縄に残された課題に取り組むと述べた。解決に時間を要するが、共に力を合わせて頑張っていくべきだ」と語った。
県振興審議会の委員を務めた有住康則琉球大名誉教授は、岸田首相が「沖縄の子どもの貧困問題や県民所得の向上について本気で取り組むと語ったことは素晴らしい。ぜひやってほしい」と期待を込めた。
(嘉陽拓也、狩俣悠喜)
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