【金武】沖縄県金武町伊芸区の民家で窓ガラスが割れ銃弾のような物が見つかった件で、在沖米海兵隊は8日、関与を否定した。米軍とみられる流弾などが過去に繰り返されてきた同区は、2004年から05年にかけて隣接するキャンプ・ハンセン内演習場「レンジ4」への都市型戦闘訓練施設建設に地域を挙げて反対した。当時区長として運動を率いた池原政文さん(65)は、繰り返される事故に「米軍はなかなか非を認めない。今回も真相は解明されず迷宮入りするのでは」と不信感を募らせる。
区民によると流弾事故が発生したとみられる6日は、朝から実弾訓練の音が響き、7日は午後9時すぎまで続いた。池原さんは「最近も頻繁に夜間まで訓練している」と指摘する。
04年当時は都市型訓練施設建設を阻止しようと区民が毎朝、基地の前で抗議活動をした。05年7月には都市型訓練強行に反対する緊急抗議県民集会を開き、三方を実弾演習場に囲まれ流弾や騒音に脅かされ続ける区の現状を訴えた。都市型訓練施設は日米合同委員会の決定で、民間地から遠いレンジ16に移設された。
しかし08年12月には民家駐車場に止めてあった車のナンバープレートに流弾が当たり、19年12月には住宅地近くに照明弾が落下するなど事故は絶えない。池原さんは「反対運動を展開しても、米軍にとっては『喉元過ぎれば』だ。熱さを忘れ、新兵への教育や安全対策で緊張感が欠如してるから事故が起きる」と苦虫をかみつぶしたように語った。
08年の流弾は県警が1年間捜査した末、被疑者不詳で書類送検。米軍は「訓練とは関係ない」と結論付け、うやむやになった。池原さんは「今回も時間がかかるだろう。米軍に協力させるには地位協定を抜本改定するしかない」と訴えた。
(岩切美穂)
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