沖縄県金武町伊芸の民家で勝手口のドアガラスが割れ、銃弾のような物が見つかった件で、県警は29日、鑑定結果を発表し、銃弾の内部の弾芯だと特定した。弾芯は発射された銃弾にみられる線条痕や火薬の付着はなかった。県警は弾芯が発射された物との断定には至らなかったと説明した上で、器物損壊事件として、米軍からの流弾などあらゆる可能性を念頭に捜査を進めるとしている。
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弾丸の多くはジャケットと呼ばれる金属部品が弾芯を覆っている。銃器から発射された際には、ジャケットには線条痕が残り、火薬などが付着するという。
県警の鑑定によると、見つかった弾芯は、直径約1センチ、長さ約5センチの鉄などを含む金属製。ジャケットはなく弾芯がむき出しの状態で、全体的に茶色のさびがみられた。弾種や銃器の特定には至らず、発射された物かの断定はできないという。
2008年12月、金武町伊芸で車のナンバープレートに突き刺さっていた弾丸もジャケットのない弾芯のみだった。18年6月に米軍キャンプ・シュワブの射撃場の流弾が名護市数久田の農作業小屋に着弾した際は、ジャケット付きの弾丸だった。
捜査関係者によると、発射された弾丸は強い衝撃でジャケットが欠落する場合があり、発射されたとすれば、何かに当たり弾芯のみが民家に飛んできたとみられる。これまで不審者の情報はなく、立地などから流弾とみる方が相応だという。
これまでの捜査で、弾芯のほかに民家周辺で弾丸の一部やジャケットなどは発見されていない。また、壁や道路などに跳弾した形跡は確認されていない。今後県警は、損壊した網戸やガラスなどを鑑定に回し、引き続き捜査を進める。併せて、米軍に弾丸の照会を依頼するとしている。
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