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市長選、参院選…破竹の勢いだった自民 知事選で失速した「誤算」とは<沖縄県知事選・信任の舞台裏>3


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那覇市長選に向けた自民党の候補者選考委員会で知念覚氏の擁立を決定し、経緯を説明する国場幸之助衆院議員(右)と仲村家治県議=8月24日、那覇市内

 「こつこつ積み上げてきたものが、こんな形で崩れるとは」。知事選から一夜明けた12日、自民党県連関係者がぼやいた。昨年10月の衆院選で沖縄3区、4区で自民党候補が当選し、2022年の「選挙イヤー」の皮切りとなった名護から南城、石垣、沖縄までの4市長選全てで支援する候補を勝利に導いた自民県連。破竹の勢いで、天王山の知事選を前にした7月の参院選も無名だった新人候補が現職に数千票差まで迫る善戦につなげた。だが、迎えた知事選には「誤算」が相次いだ。

 7月13日、保守層の支持が重なる、前衆院議員の下地幹郎氏が立候補を表明した。自民党本部は下地氏の親族企業で県内大手建設会社大米建設や、衆院選で下地氏を支援した最大手の国場組に対し、下地氏支援に回らないようくぎを刺した。関係者によると、菅義偉前首相は両社の幹部と面談し、県連が推す佐喜真淳氏を支援するよう求めた。あの手この手で保守票の流出は食い止めたかに思えた。

 ただ、国とのパイプを強調する佐喜真氏に対し、下地氏は「国との決別」を打ち出す。「10年間で自民党が1千億円近くの予算を切った」と強調し、独自の政策を次々と打ち出した。沖縄の自主路線を描く下地氏と、佐喜真氏の政策の違いは鮮明で、保守層の一部は下地氏へと流れた。

 さらに、当初は10月23日投開票の那覇市長選とのセット戦術を組む予定だったが、候補者選考は難航し、知事選の告示直前までずれ込んだ。自民側が推す候補として、前那覇副市長の知念覚氏が選ばれたが、佐喜真氏の応援で有権者の前に立つ場面は見られず、戦術は不発に終わった。
 ('22知事選取材班)

 

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