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佐喜真陣営に早々と広がった諦め感 「旧統一教会」問題の逆風やまず 劣勢を払拭できる材料なく<沖縄県知事選・信任の舞台裏>1


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
開票を前に集まった支援者が退席する中、敗戦の弁を述べる佐喜真淳氏=11日、那覇市山下町の選挙事務所(喜瀬守昭撮影)

 8月25日の知事選告示日の出陣式。佐喜真淳氏=自民、公明推薦=の選挙戦初日の第一声は、さながら釈明会見の様相を呈した。「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)関連との一切の関係を断つということをこの場で約束する」。安倍晋三元首相の襲撃事件以降、議論が巻き起こった旧統一教会と政治家の関係。同会関連団体の集会出席が確認された佐喜真氏も批判を浴びた。すでに謝罪に追い込まれていたが、「断絶宣言」でくすぶる追及や批判の火消しを図り、選挙戦に向かう狙いがあった。

 告示日の3日前に沖縄セルラースタジアム那覇で開いた総決起大会には、目標としていた5千人を大幅に上回る参加者が席を埋め、気勢を上げた。得意の組織戦を展開するための準備は整っていた。だが選挙戦中も全国的に旧統一教会と関係のあった政治家への批判の火は消えず、むしろ安倍氏の国葬に対する論調も厳しさを増すなど、政権与党を後ろ盾とする佐喜真氏には強い逆風が吹き続けた。

 大票田・那覇市を選挙区とする県議補選の候補者選考が二転三転して遅れて陣営の動きが止まるなどの“失策”もあり、自民党や報道各社の情勢調査で示された劣勢を払拭できる材料はなくなっていった。

 統一地方選の期日前投票が始まるころには諦めムードが陣営内を覆うようになり、陣営を訪れる支援者の姿も一人、また一人と消えていった。

 投票箱が閉まった11日午後8時ちょうどに報道各社が玉城デニー氏の当選確実を報じる完敗。佐喜真氏は「私の力不足でこういう結果になった」と声を振り絞った。(’22知事選取材班)
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 現職の玉城氏が再選を果たした知事選の舞台裏を振り返る。

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沖縄県知事選・信任の舞台裏

 現職の玉城氏が再選を果たした知事選の舞台裏を振り返ります。

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