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大川家具の中古販売はお客の「困りごと」から始まった 老舗が挑戦するSDGs<暮らしを豊かに・家具の「大川」>1


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回収したソファを解体するReOKのスタッフ=沖縄市与儀

沖縄市与儀の家具のショッピングモール「リビングデザインスクエア泡瀬」地下にある中古品代行販売の「ReOK」(リ・オーケー)には、ソファやテーブル、学習机など常時約千点の中古品が並ぶ。2009年の開店から利用客は年々増加し、21年は1年間で2万940点が売れた。運営するのは1961年創業の老舗家具店「大川」(沖縄市、外間幸一社長)。不要になった中古品を取り扱うことで、廃棄される家具を減らし循環させる仕組みを作っている。「私たちの事業は、いつもお客様の『困りごと』から始まってきた」。外間完一郎取締役が話すように、顧客の声を柔軟に反映する大川の「らしさ」が詰まった事業だ。

リサイクル部門は「古い家具を片付けたいけど、まだ頑丈できれい。使える家具を捨てるのはもったいない」という客の声を受けて始めた。

店が買い取るのではなく代行販売の形をとる。価格は出品者が決め、1週間ごとに30%、40%、60%と希望販売価格から値下げする。成約率を上げる仕組みで、出品された中古品の95%が成約に至っている。販売額の4割が出品者の受け取り分、6割が販売手数料となる。ソファなどを出品した宜野湾市の夫婦は「思い入れがあるので捨てるには惜しいと思っていた。次の方に使ってもらえるのはありがたい」と話す。

廃棄を減らす取り組みはこれだけにとどまらない。成約に至らなかったものや痛みや汚れが激しく売り物にならないものは廃棄となるが、少しでも削減するため、家具を解体し資源化している。木くず、金属、繊維くずなど25種類に分別。2021年度は木くず4万670キロ、金属1万5822キロ、繊維くず6860キロが資源化された。外間取締役は「家具を作り、売っている責任だ」と言う。

今後はアップサイクルにも力を入れていく予定だ。婚礼たんすなど、出品される家具の中には頑丈に作られているが、時代の変化で今の生活に合わなくなってしまったものもある。それらに手を加え、別の商品として販売するのだ。

「人生の分岐点で人は家具を買う。それぞれの家具にストーリーがある。そのストーリーを大事にしながら、環境にも優しい仕組みを作っていきたい」。家具の循環型消費の仕組み作りへ、挑戦を続ける。

 (玉城江梨子)


県内企業の成功の要因や成長の歴史を追う「企業発展シリーズ」。サンエーに続く第2弾は「大川家具」の愛称で親しまれる大川。県民の生活スタイルや価値観の変化に合わせ、いち早く新しい業態を県内に浸透させてきた。離島県で物流コストがかかる沖縄で、独自のスタイルで県民の支持を集める同社の歩みに迫る。