【宜野湾】普天間第二小米軍ヘリ窓落下事故は、安全ワイヤの固定を見落とした「人為的ミス」から起きた。本紙が入手した事故調査報告書で米軍は「防ぐことができた」事故だとする。一方、乗組員や事前点検を行った作業員らは事故原因とされたワイヤについて、「存在を思い出せない」と証言するなど、機体の運用のずさんさが明らかとなった。
安全ワイヤは、緊急脱出用の窓のレバーと機体を固定するもので、レバーが不用意に動くことのないように取り付けられている。フライト前の事前点検では、複数の乗組員らが緊急脱出用のレバーが窓をロックする「下向き」の状態だったことを確認している。しかし、そのレバーに取り付けられているはずのワイヤは「接続されていたか思い出せない」「ワイヤは未確認」などと複数が語っている。
適切な事前確認がされないまま機体は飛行。上昇した直後に機体から窓が吹き飛んだ。乗組員らは「飛行場の北側の30~40人ほどの人がいるサッカー場に窓が落ちるのが見えた」などと証言しており、落下地点の様子も分かっていた。
事故後に普天間飛行場に帰還した機体に窓の取り付けなどを行った作業員らが緊急脱出用の窓のレバーが、窓が開く「上向き」の状態だったことを確認している。レバーの周りに切れたワイヤの残骸も確認されているが、機体側に取り付けられている部分は見つかっていない。
報告書で、ある乗組員は「ワイヤの存在を思い出せた乗組員はいなかったという事実は、緊急解除レバーにワイヤが取り付けられていたかどうか疑問をもたらす」と指摘している。
米軍は、事故について「当該機固有の問題」として、構造上、機械的な欠陥はなく「飛行安全上の問題がない」と位置付けた。今回の事故をマニュアル点検の手順漏れだとして、全てのフライト前に「セキュリティーの物理的視覚的チェックをする」とした。
(新垣若菜)
【関連記事】
▼「逃げて」窓が空から降る恐怖…運動場の児童証言、衝撃で体調崩す
▼「平和な子育てができる環境ではない」米軍ヘリ窓落下、当時の児童の保護者が法廷で訴え
▼「皆さんの学校だったら」保育園米軍ヘリ部品落下 当時の保護者が広島の高校生に平和講話