官房長官と防衛相、沖縄・与那国への避難シェルター設置に前向き 有事想定、町議会の要請に


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浜田靖一防衛相(左から4人目)に避難シェルターの早期設置を求める意見書を手渡す与那国町議会の大宜見浩利副議長(同5人目)ら=9日、防衛省

 【東京】与那国町議会の大宜見浩利副議長らは9日、国会や防衛省を訪れ、町内への避難シェルターの早期設置を要請した。面談は一部を除いて非公開だったが、町議らによると、要請を受けた松野博一官房長官や浜田靖一防衛相は設置に前向きな考えを示した。町議らは「与那国町へ最優先でシェルターを造ってほしい」と求めた。

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 町議らは2022年12月の町議会で可決した、一刻も早いシェルター設置を求める意見書を手渡した。町議会ではシェルター設置の必要性に7人が賛成した一方で、2人は「かえって緊張を高めて町民を危険にさらす懸念がある」などとして反対した。

 要請を終えた嵩西茂則町議によると、松野官房長官から町内に地下施設があるか尋ねられ「ない」と答えると、シェルター設置を検討する必要があるという旨の発言をした。

 浜田防衛相はシェルター設置が必要だとの認識を示し「内閣官房と調整しながら検討していく」と答えた。3月に県と政府が開催を予定する図上訓練にも触れ「防衛省・自衛隊も積極的に参画したい」と語った。この図上訓練では先島諸島から九州に船などで移動する想定を計画している。

 与那国町は国民保護計画で住民の島外避難を想定している。それを踏まえ、嵩西町議は取材に「一時的な避難場所としてシェルターの設置が必要だ」と強調した。

 意見書は、台湾との近さを踏まえ「もし台湾有事が発生した場合、町民の生命と安全が脅かされることが強く懸念される」と指摘している。

(明真南斗)

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