「首締められ…」沖縄の米兵からDV 「司法取引」に元妻は反発 日米制度の溝と支援の壁、改善訴え


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海兵隊員だった元夫からのDV被害について語る女性=1月21日、本島中部

 在沖米海兵隊員だった元夫と基地内に居住している際、首を絞められるなどの家庭内暴力(DV)を受けて基地内の司法機関に告発した本島中部在住の30代女性が19日までに琉球新報の取材に応じ、米司法制度に対する戸惑いや基地内で満足のいく支援を得ることの困難さを語った。女性からの告発を受け、軍司令官は元夫を不名誉除隊にした上で1年程度服役させる司法取引に合意した。だが女性は、元夫が数年以上、服役することを要望しており、司令官の決定に反発して制度改善を訴える。     

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 米軍法会議規則では、司令官は司法取引を合意する権限を有している。また日米地位協定では基地内で発生した米軍人家族に対する犯罪の第一次裁判権は米側が有するとされ、日本の捜査機関が関与するのは難しい。

 女性は元夫からの暴力によるフラッシュバックに悩まされ、今月医師から心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断を受けた。「死んでいたかもしれないような暴力を受けていたのに、私の意向を無視して司法取引に合意するとは不当だ」と反発した。被害者の気持ちを顧みず、身内の軍人同士で司法手続きが完結する軍法制度に不満を抱いている。

 女性は2018年2月に海兵隊員だった元夫と県内で知りあい結婚した。元夫の所属基地がある米カリフォルニア州に移り住み、妊娠していた頃からDVを受けた。生活費を最低限度しか渡さないといった経済的暴力も受けた。

 元夫の転勤で19年10月から本島中部の基地に移り住んだ。カウンセリングを受けたことをきっかけに、基地内のDVや児童虐待などに対応する「ファミリーアドボカシープログラム」(FAP)につながった。

 当初担当だったスタッフは親身に相談に乗ってくれたが、このスタッフが転勤すると支援は滞りがちになったという。

 元夫は基地内住居に帰らなくなり、専業主婦だった女性は子どもとともに金銭的に窮乏した。その際、北谷町役場にある県の国際家事福祉相談所に相談した。相談所が元夫の上司との協議を支援し、扶養料や養育費を得られることになった。

 22年10月に離婚した女性は「当初は自分が受けているのはDVだという認識さえもなかった。相談したくても誰に相談していいか分からない。私だけではなく、軍人の夫の暴力に声を上げられない女性は多いはずだ」と話した。

 米軍法に詳しい松崎暁史弁護士は「米軍が第一次裁判権を有しているような事案に関しては、県が基地内支援機関の情報などを発信して日本人配偶者にも利用しやすくする必要がある。被害拡大を未然に防ぐことができる可能性がある」と指摘した。 

(梅田正覚)

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