全国的な鳥インフルエンザ流行による品薄や飼料価格の上昇などで、鶏卵の価格が高騰している。20日の沖縄県内の鶏卵卸売り相場は、Mサイズが1キロ当たり385円と過去最高値を記録した。
市場の供給不足と仕入れ値の高騰によって店頭価格も上昇し、スーパー各社はこれまで維持してきた「特売」価格の変更にも踏み切らざるを得なくなっている。鶏卵の品薄状態は1年以上続くと見られ、小売業界からは「この先、価格がどうなるのか見通せない」と消費者に理解を求める。
JAおきなわによると、平年は卵の需要が高まる年末にかけて価格が上昇し、年明けに落ち着く。しかし、本年度は12月に309円、1月に315円と続伸し、2月も上昇が続いている。
飼料価格の高騰で全国的に農家が飼育数を減らしたり、廃業したりしていることに加え、鳥インフルエンザの流行で1200万~1300万羽が殺処分された。市場に出回る卵の量が急減し、価格の高騰を招いている。
県内では新型コロナで落ち込んでいた観光、外食需要の回復に伴い卵の需要も高まり、品薄感に拍車をかける。
今後の鶏卵供給の見通しについて、JAおきなわは「需要と供給のバランスが崩れている。ヒナを導入しても卵を産むまで約150日かかる。元のバランスに戻るには1年から1年半かかるだろう」と見通した。
スーパーで販売されている卵は通常は1パック300円程度だが、週末など特売の日は120円前後で販売されてきた。特売の卵が目当ての来店客も多く、小売り各社にとって誘客の目玉だ。
県内スーパー最大手のサンエーは、これまで1パック118円(税抜き)だった特売の卵を158円(同)に変更した。「仕入れ数量は維持しているが、価格についてはその都度の判断になっていく」と話した。
イオン琉球も19日から特売価格を158円に変更。広報担当者は「県外からの仕入れがかなり厳しい状況になっている。この価格を維持できるのかも不明だ」とした。
タウンプラザかねひでは1月中旬から、卵が品薄になり、価格が高騰していることを売り場に掲示している。同社は「仕入れ数量も例年の8割程度にとどまっている」とし、特売の価格変更を検討している。
リウボウストアは特売はPRせず、店頭で知らせるだけにしている。「仕入れ量が大幅に減っており、店頭でお知らせするしかできない」と厳しい現状を説明する。
(玉城江梨子)
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