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男性隊員は匿名なのに被害者の女性は実名…自衛隊那覇基地でのセクハラ 全隊員への配付資料に記載 弁護団「二次被害」


この記事を書いた人 Avatar photo 明 真南斗
現役自衛官によるセクハラ被害国賠訴訟提起を発表する弁護団と支援者=27日、東京都の司法記者クラブ

【東京】那覇基地でのセクハラ被害を巡る対応について国を相手に訴訟を起こした現役自衛官の女性は27日、弁護団を通してコメントを出し「今でも睡眠障害やフラッシュバックに苦しめられている」と明らかにした。

「セクハラ被害を隠蔽」現役の女性自衛官が国を提訴 空自那覇基地で被害、救済求めるも対応されず

那覇基地の部隊はセクハラ防止教育と称して女性自衛官が訴えた事例を載せた資料を作成。男性隊員は匿名なのに女性自衛官は実名で、これを全隊員に配ったなど「二次被害」(弁護団)を訴えている。 原告側によると、2010年の那覇基地への着任当初から、同僚の男性隊員からセクハラ発言を繰り返し受けた。内容は次第に悪化し、交際相手との性行為のため業務を怠っているなどと、電話でもののしられた。

女性自衛官は上司のほか、部隊の法務班にも相談したが「個人の問題は関与しない」と断られた。この頃、不眠が悪化して半日入院した。

さらに16年に女性が男性隊員を提訴し、男性隊員が反訴した際、法務班は男性隊員を支援した。陳述書のひな型を作って渡し、関係する隊員15人がそれを基にセクハラ発言を否定する陳述書を提出した。陳述書については裁判所は「信用性に疑義が残る」と判断している。

女性自衛官は、臨時異動があった一時期を除いて合計約5年、当該男性隊員と接する職務にとどめ置かれた。また、裁判で組織内の資料を証拠として提出したことを巡って訓戒処分や警務隊の取り調べを受けた。

女性自衛官は、部隊が問題に向き合っていない実態から後輩たちが同じように苦しむことも懸念している。後輩たちへの思いも、提訴に踏み切った理由の一つだ。

弁護団を通じたコメントで「隠蔽(いんぺい)に加担した人たちは誰も処分を受けていない。自衛隊にはきちんと行動できる組織になってほしい」と求めた。  (明真南斗)


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