防衛省・自衛隊は16日、沖縄県石垣市平得大俣で2019年から整備を進めてきた陸上自衛隊石垣駐屯地を開設する。「南西地域の陸自部隊の空白を埋める」として政府が南西諸島で進めて来た一連の駐屯地新設事業は最終段階を迎えた。駐屯地に配備されるのは地対空、地対艦ミサイルなど。地対艦ミサイルは敵基地攻撃能力(反撃能力)を備えた改良型に更新される可能性がある。部隊の増強や補給拠点の整備、米軍との協力深化など、今後も県内でさらなる防衛体制の強化は続く見込みだ。
石垣駐屯地は、政府が7日の閣議で、16日に開設すると正式に決定した。16日は新編される八重山警備隊の編成完結行事が駐屯地の同部隊内で行われる。報道公開はない。開設記念行事は4月2日、地元関係者らを招いて開催予定という。
石垣駐屯地にはいずれも九州から移駐する第303地対艦ミサイル中隊(約60人)と第348高射中隊(約70人)、八重山警備隊(約340人)が配備される。駐屯地業務や会計を担う部隊も含め、全体で約570人が配置される。車両約200台を保有する。
開設に先立ち陸自は2月末から島に車両を運び込み、今月5日には約150台を駐屯地に搬入した。
駐屯地開設後の18日にも12式地対艦誘導弾(ミサイル)、03式中距離地対空ミサイル、警備隊が扱う中距離多目的ミサイルや81㍉迫撃砲などの弾薬が搬入される見通しだ。
一方、駐屯地開設後の22日に、石垣市と沖縄防衛局、駐屯地が住民説明会を開く。住民理解を得る取り組みは道半ばだ。
石垣市への陸自配備を巡っては防衛省が15年11月に平得大俣への配備計画を市に正式に打診した。
市民の賛否は割れ、18年12月には市住民投票を求める会が有権者の3割を超える1万4263筆の署名を集め、陸自配備の賛否を問う住民投票を直接請求した。だが市議会で請求が否決されるなどして、現在も実施されていない。
(知念征尚、明真南斗)
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