沖縄県が北東アジア地域自治体連合にオブザーバー加入へ デニー知事、地域外交は「相手を選定しない全方位で」


沖縄県が北東アジア地域自治体連合にオブザーバー加入へ デニー知事、地域外交は「相手を選定しない全方位で」 会見で記者の質問に答える玉城デニー知事=23日、県庁(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 沖田 有吾

 沖縄県の玉城デニー知事は23日の定例記者会見で、6カ国の81広域自治体が参加する北東アジア地域自治体連合(NEAR・ニア)にオブザーバー加入すると発表した。今後申請し、1年後をめどに正式な加入についても検討していく。

 北東アジア地域の自治体とのネットワークを開拓すると同時に、県が推し進める地域外交の展開に向けて他国の自治体との相互連携のノウハウ獲得などを目的としている。

 ニアは1996年に、北東アジア地域の自治体が互恵・平等の精神に基づいて交流と協力の関係を築き、信頼関係の構築で地域全体の共同発展を目指すことを目的に設立された。

 現在は日本、中国、韓国、モンゴル、ロシア、北朝鮮の6カ国から81の広域自治体が参加している。日本からは青森県や京都府、島根県など11府県が参加している。参加自治体の人口は約7億人。会員自治体の首長で構成する総会の下に、局長レベルで構成する実務委員会、経済、教育、環境、防災、気候変動など17分野の分科委員会がある。事務局は韓国・慶尚北道に置かれている。

 玉城知事は、沖縄が歴史的な経過から交流のあった東アジアや東南アジア、移民を通じてネットワークのある北米や南米の他にも、新たな海外ネットワークを構築できると期待を込めた。

 北朝鮮やロシアなど、非民主的で日本とは価値観の違う国の自治体とも連携していくことの意義について、玉城知事は「国家間の関係と地域や自治体レベルの関係は分けて考えることができる」と説明。「沖縄の地域外交は、平和的な手法で信頼関係の構築を図ることを基本に、相手を選定しない全方位外交を基本姿勢として推進する」と話し、国家間の外交とは異なる立場から、地域の緊張緩和や信頼関係構築に貢献していくと意義を述べた。

 担当者によると、9月に部長級の会合、10月には環境をテーマにした分科会が開かれる予定で、沖縄県からも出席を検討しているという。