米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局が軟弱地盤がある大浦湾側海域での着工に向けた準備作業を始めた9日、ヘリ基地反対協議会の海上チームが大浦湾などで海上監視行動を実施した。
時折雨が降る中、午前中から2隻の船が大浦湾北側の海上ヤード予定地周辺にある臨時制限区域を囲うフロート(浮具)の内側で潜水作業などをする様子が確認できた。午後には汚濁防止膜とみられる装置を設置する様子もみられた。
悪天候などによりカヌーを使った抗議活動は中止となったが、市民らは船上から「新基地NO」などのプラカードを掲げ、作業船に向け「沖縄に基地負担を押しつけないで」と訴えた。
「諦めたらおしまいだ」。2014年から海上での抗議活動を続ける男性(63)=今帰仁村=は9日も船に乗り、阻止に向けた強い意志を行動で示した。「工事の準備作業が始まったが、止めたり遅らせたりする努力をしないといけない」と言葉に力を込める。
埋め立て着工から10年が経過した。辺野古側は埋め立てがほぼ完了し、コンクリートの護岸で覆われた陸地が海上に連なる。現在も青い海が広がる大浦湾側に、土砂を積んだガット船など複数の作業船が浮かんだ。
今日の作業船には「潜水作業中」と書かれた黄色い札が掲げられていた。船からはダイバーが水中で呼吸するような「シュー、シュー」という音が聞こえた。
監視行動に参加した女性(60)は「今日の工事の一歩がどれだけ命に関わるかと思うと胸が痛い。新基地建設が戦争につながる」と悲痛な表情を見せた。
(武井悠)