【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局は9日、軟弱地盤がある大浦湾側海域での本格的な埋め立て工事の着工に向けた準備作業を始めた。留意事項に基づく県との事前協議が終わっておらず、大浦湾側に生息している小型サンゴ類など約8万4千群体の移植も完了していないが、防衛局は12日にも埋め立てに着手する構えだ。
9日、大浦湾北側の海上資材置き場(ヤード)の設置予定地付近に、午前9時過ぎから船とタグボートが現れ、ダイバーが潜水作業した。午後には、石材を海中投入した際に汚れが拡散するのを防ぐための汚濁防止膜を船から海中に降ろす様子も確認された。
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当初承認時の環境保全図書では、サンゴの保全措置として「埋立区域内に生息するサンゴ類を可能な限り工事区域外の同様な環境条件の場所に移植する」と定めている。ただ、防衛局が22年7月に申請した軟弱地盤に生息するサンゴ類約8万4千群体の特別採捕許可について県は不許可とし、国と県の間でまだ訴訟が続いている。
大浦湾側の埋め立て工事を巡っては、2013年に当時の仲井真弘多知事が承認した際に県と国で交わした留意事項に基づき、工事の実施設計について事前に協議することが求められている。玉城デニー知事は9日朝、協議が始まっていない中で工事が強行されようとしていることに「本当に残念でならないというのが正直な気持ち」と話した。