斉藤鉄夫国土交通相は28日、県の代わりに防衛省が出した設計変更申請を承認した。承認を受け、防衛省は来年1月12日にも大浦湾側の工事に着手する見込み。ただ県が2013年の埋め立て申請承認時に沖縄防衛局に求めている大浦湾側の工事に関する事前協議は行われておらず、市民からは「事前協議が行われていない中での工事強行は許されない」とする声も上がっている。
名護市辺野古の新基地建設の工事について県は、13年12月に仲井真弘多元知事が政府の埋め立て申請を承認した際に「留意事項」を付け、防衛局に対して県と実施設計について事前に協議するよう定めている。留意事項に基づき、防衛局は9月21日に県へ大浦湾側の護岸工事に関する実施設計と環境保全対策の2件の協議書を提出した。
一方で、県は10月19日、県が設計変更申請を承認していないことと、代執行訴訟の係争中という理由から防衛局に対して「協議に応ずることはできない」とする旨の回答文書を送付。代執行訴訟の判決後に協議書に関する対応を検討するとしていた。防衛省は「県と協議している」との認識を示しており、県と解釈が食い違っている。
県の担当者は、12月28日時点における今後の対応は未定としつつ「協議書の取り扱いは年明け検討していく」と話した。
防衛局は15年にも、護岸全22カ所のうち、先にボーリング調査を終えた12カ所の協議書を提出。県は「全体の実施設計を検討・確認しなければ安全性などを確認することはできない」として護岸全体をまとめて示すよう求めたが、防衛局は県の求めに応じず、工事を強行した経緯がある。
沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏は「代執行されたとはいえ、留意事項で定められた県との協議が終わるまでは工事に着手できない。重要な事前協議を、関係ないかのように1月着工というのはおかしい」と指摘した。
(沖田有吾、與那原采恵)