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「御後絵」返還は「遺族が正しい選択した」 盗難美術品ファイルと遺品が酷似、FBIに通報 退役軍人は太平洋戦争地域に配属なし


「御後絵」返還は「遺族が正しい選択した」 盗難美術品ファイルと遺品が酷似、FBIに通報 退役軍人は太平洋戦争地域に配属なし 米国で発見された御後絵。元は1点だったものが3分割されたとみられる(県提供)
この記事を書いた人 アバター画像 当銘 千絵

 元の記事:「琉球国王の肖像画、退役米軍人の私邸で見つかる FBIが経緯を公表」

 琉球国王の肖像画「御後絵(おごえ)」など22点の文化財が米国から沖縄県へ返還された件を巡り、米連邦捜査局(FBI)は発見から返還までの経緯を明らかにした。FBIによると、文化財を保管していた退役軍人はすでに死去しており、同氏の遺族が遺品整理をした際に邸宅の屋根裏から文化財が見つかった。退役軍人は第2次世界大戦で従軍したが、太平洋戦域への配属はなかったという。

 遺族は、見つかった文化財のうち御後絵がFBIの盗難美術品ファイルに登録されている美術品と酷似していることから自ら通報。これを受けFBIは2023年1月に捜査を開始した。23年3月、FBIは県教育委員会に高解像度の写真を提供し、県教委は沖縄戦で米国に持ち去られた可能性が極めて高い文化財だとして返還を求めた。

 文化財はその後、スミソニアン博物館へ移送された。この時、巻かれた状態だった御後絵をほどく作業も行われたが、状況から見て御後絵は何十年もそのままの状態だった可能性が高いことが推測されたという。

 FBI美術犯罪チームのジェフリー・J・ケリー特別捜査官は「国の文化的アイデンティティーは工芸品や歴史に集約され、文化を作り上げる。それがなければ歴史を奪うことになる」と指摘した。ジョディ・コーエン特別捜査官も「今回、遺族が問題意識を持って正しい選択をしたからこそ、文化財の返還が実現した」と述べ、民間からの情報提供が盗難品の回収につながることもあるとして継続的な協力を呼び掛けた。

 FBIは美術犯罪プログラムの開始以来、2万点以上(総額9億ドル以上)の美術品を回収しているという。

(当銘千絵)

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