保健・医療・福祉の分野で真摯(しんし)に活動する人に贈られる「第32回若月賞」に、ハンセン病回復者で作家の伊波敏男さん(81)=浦添市=が選ばれた。当事者として差別や偏見と闘い、ハンセン病の理解普及に貢献したほか、沖縄に関する情報発信や、地域医療を志すアジアの若者を支援する基金を設立したことなどが評価された。
若月賞は、長野県佐久市の佐久総合病院の名誉総長を務め、農村医学を確立した故若月俊一さんの業績を記念して創設された。農村保健振興基金の主催。伊波さんは「人権と平和を人生の軸として今までやってきた。医療を受ける側の私が、若月賞をいただけるのは非常に光栄だ」と語った。
伊波さんは政府のハンセン病補償金を基に「伊波基金(現・NPO法人クリオン虹の基金)」を設立し、フィリピン国立大学レイテ分校の学生らを継続的に支援している。19年暮らした長野県では、市民団体「信州沖縄塾」を発足させるなど、沖縄の問題について発信してきた。
26日には佐久総合病院で授賞式や記念講演が開かれる。