沖縄本島の5病院、救急を制限 増えるコロナ、深刻な看護師不足…県医師会「ひっ迫、知って」


沖縄本島の5病院、救急を制限 増えるコロナ、深刻な看護師不足…県医師会「ひっ迫、知って」 救急車(イメージ)
この記事を書いた人 Avatar photo 宮沢 之祐

 県医師会は、救急病院を対象に病床の稼働状況などを調べた現況調査の結果を24日までにまとめ、本島で専門的医療を施す急性期Aの14病院のうち5病院が病床逼迫(ひっぱく)により救急受診で何らかの制限をしていることが分かった。病床逼迫(ひっぱく)の要因については、全14病院が新型コロナ患者の増加を挙げたが、退院調整の難航や看護師不足も深刻で、病床不足が常態化することをうかがわせる結果になった。

 調査は、県内の救急搬送が高止まりし、医療機関への負担が増していることを受け、県立3病院を含む14病院を対象に7月11~16日に実施した。

 医師会によると、コロナ患者の入院数は11~56人。救急受診を制限する5病院は「コロナ病床が満床のためコロナ患者を制限」「満床なので救急車受け入れを制限」などと回答した。

 病床逼迫(ひっぱく)の外的要因では、コロナ患者増加に次いで、9病院が「退院調整の難航」と答えた。病状が安定した患者をほかの医療機関に移す「下り搬送の停滞」や、軽症者が訪れる「コンビニ受診の増加」も挙がった。

 内的要因の「職員の減少」と「稼働病床数の減少」は表裏一体だ。病床を最大稼働できていない6病院で不足する看護師数は平均28人。50人不足と答えた病院もあった。

 23日には中部地区の4救急病院が一般患者の入院受け入れが難しい満床状態に。沖縄の医療で心がけられてきた「断らない救急」を継続できるのかどうか、岐路にある。

 県医師会の田名毅会長は「在宅医療につなげるなど、急性期の病院の負担を減らさなければならない。病床の逼迫状態を可視化し、県民にも知ってもらいたい」とし、県と協力して対応する意向を示した。

 (宮沢之祐)