米兵による新たな女性暴行事件を受けて5日、県民からは再発防止を明言してきた日本政府、米軍に対して憤りの声が上がった。事件が続く背景に、日米地位協定の存在があるとの指摘もあり、県民集会の早期開催を求める意見もあった。
糸満市内の商業施設で買い物をしていた大学生の女性(22)=糸満市=は「またかという感じ。事件が起きるたびに米軍も日本政府も『なくなるようにする』と言うが変わらない」とあきれた様子。基地のある中北部に遊びに行く際は、単独行動や暗い路地などは避けるようにしているという。「怖いし悲しい。罪を犯すことへの心理的ハードルが低いのかな、とすら思う」
名護市の安和桟橋前に新基地建設工事の抗議に来ていた本部町の崎濱静子さん(64)は「許してはならない悲しい現実だ。将来、子供たちから『お母さんたちは何をしていたの』と言われないように基地建設を止めるために取り組んでいるが、これ以上、基地を造ってはいけない。怒りの矛先を絞って県民集会を開くべきだ」と語った。「本土の日本国民がずっと黙っているからだ。私たちはずっと訴えているんだから」と本土の冷淡さを問題視した。
名護市在住の30代女性は事件に驚きつつ「基地が近くにあると多少とも危険性はあると思うが、米軍人が全員危ない訳ではない。しっかりと原因を調べて再発防止に努めてほしい」と訴えた。
「ハートのまち南城 人権ファーストの会」代表者らも速報に触れ、憤りを隠せなかった。「まだまだ同じような事件が出てくるのではないかと考えると涙が出てくる」と声を震わせた。
読谷村牧原自治会の與古田松吉会長(75)は「米軍はやりたい放題。日本政府も米軍優先で住民に寄り添う気持ちが弱い」と憤った。牧原地区は戦後、米軍に接収され、現在も嘉手納弾薬庫の中にある。「戦後79年がたっても基地の被害を受けている。支配が続いている感じがする」と嘆いた。
那覇市のパレットくもじ前で、バスを待っていた女性(83)は「日米地位協定を見直さない限り、沖縄はいつまでたっても日本から見放されているように感じる。沖縄自体が被害者だ」と憤った。
(岩切美穂、南彰、玉寄光太、普天間伊織、中村優希、玉城凪姫)