PFAS濃度の高い比謝川からも、取水準備 ダム貯水率の低下受け 米軍基地の調査は? 沖縄


PFAS濃度の高い比謝川からも、取水準備 ダム貯水率の低下受け 米軍基地の調査は? 沖縄 比謝川取水ポンプ場(資料写真)
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 少雨傾向で沖縄本島内11ダムの貯水率が低下していることを受け、県企業局は20日、渇水対策本部会議を開き、有機フッ素化合物(PFAS)濃度が高いため取水を停止している比謝川からの取水再開に向け準備を進めていることを明かした。

 取水機器の点検と管路の洗浄を開始した。このまま少雨傾向が続くと2月末ごろには2018年6月14日以来、過去10年間で最低となるダム貯水率44・3%に達する見込み。過去最低を下回れば、比謝川からの取水再開に向けて調整する。

 企業局は中部水源のうち、比較的PFAS濃度の低い嘉手納井戸群と天願川の2水源から取水を11日から再開。3月中旬からは長田川からの取水も再開を予定する。

 企業局が13日に採水し、19日に公表した検査結果では天願川では41ナノグラム、嘉手納井戸群では平均32ナノグラムといずれも国の暫定指針値(PFOSとPFOA合計で1リットル当たり50ナノグラム)を下回った。両水原の水を北谷浄水場に集まる前にダム水で希釈すると計7ナノグラムだったが、同浄水場で高機能活性炭処理を施すと1ナノグラム以下となった。嘉手納井戸群や天願川、長田川は23年4~12月の平均で暫定指針値を下回った。

 一方、比謝川からの取水を巡り、企業局は「中部水源からの取水量が増えるため、今まで通り1ナノグラム未満を維持できるかは不透明」とした。比謝川は23年4~12月平均が138ナノグラムで、高い値が検出されている。そのため県は米軍嘉手納基地の調査を求めているが、米軍は拒否し続けている。

(梅田正覚、與那原采恵)