糸満市は1000人余 沖縄に住む外国人、災害時の困りごとは? 炊き出し訓練でつながり深める


糸満市は1000人余 沖縄に住む外国人、災害時の困りごとは? 炊き出し訓練でつながり深める 炊き出し訓練で調理されたカレーライスなどを受け取る外国人ら=1月21日、糸満市役所
この記事を書いた人 Avatar photo 岩切 美穂

 糸満市と糸満市自主防災組織連絡協議会は1月21日、市内在住の外国人を対象とした防災炊き出し訓練を市役所で実施した。停電や断水の被害をもたらした昨年の台風6号を機に、災害時の外国人支援の課題が浮かび上がり、両者は定期的に訓練を重ねて課題解消を図りたい考えだ。
 市内には、アジアの出身者を中心に技能実習生ら千人余りが住む。外国人向けの炊き出し訓練は昨年8月に続いて2回目。

 宗教上食べられない牛肉や豚肉を使わないカレーなどを市職員らが調理し、外国人約40人が参加した。農家から提供された野菜のほか、市社会福祉協議会から生活用品も提供された。

 昨年の台風6号で、市内は停電や、停電に伴う断水が最長約1週間続き、日本語学校に一時避難した学生らもいた。中国出身の陳陽(ちんよう)さん(36)は「トイレが何日も使えず、携帯電話が充電できなかったり、食料品が売り切れて買えなかったりして困った」と振り返る。

 市によると前回の訓練で、外国人が指定避難所の存在を知らなかったり避難誘導の標識を読めなかったりする現状や、災害時に通信手段が途絶え、支援の手が届かないなどの課題が判明した。「職場だけでなく、地域や行政ともっとつながりたい」との声も寄せられたという。

 市自主防災組織連絡協議会の古我知進会長は「訓練は、外国人に災害時の対応を伝えるだけでなく、互いに知り合い、悩み事を行政などにつなげるきっかけにもなる。訓練を重ね、外国語による避難の呼びかけなども考えたい」と話した。 

(岩切美穂)