沖縄県の与那原署(安里真全署長)は3日、6月上旬に大型商業施設で男性がショルダーバッグなどを奪われたひったくり事件で容疑者の少年逮捕に貢献したとして、地方公務員の大城優生さん(25)=糸満市=に感謝状を贈呈した。公務員の仕事をしながら、糸満市内で子どもたちに陸上を指導しているという大城さん。事件では自慢の健脚を生かし、逃走する少年を追いかけた。「陸上で、競技以外で人の役に立てて、自信がついた」と笑顔を見せた。
署や大城さんによると、大城さんは事件当日、知人と商業施設を訪れ、駐車場に止めた車内にいたところ、バッグを持って店から走り去る少年と、その後を追う男性、店員を目撃した。
「ただごとじゃない」。状況を察知した大城さんは車を飛び出して3人を追いかけ、約100メートル先の施設外路上で少年に追いついた。疲れと焦りを見せる少年に「何があったの? 事情を説明して」と語りかけ、落ち着かせた上で店員に引き渡したという。少年はその後、現行犯逮捕された。
陸上指導の傍ら、自身も短距離走で県内大会に出場してきたという大城さんは「足には自信があった」とはにかむ。被害男性や店員からは「大城さんがいなければ追いつけなかったよ」などと声をかけられたという。
事件について、陸上を教える子どもたちには報道を通じてサプライズで知らせるという。「また周りで何か起きたときには、積極的な行動を取りたい」と力を込めた。
(西田悠)