【那覇・宜野湾】那覇市立安岡中学校(平良一校長)の演劇部7人が19日、宜野湾市の米軍普天間飛行場の周辺に足を運んだ。全国中学校総合文化祭(22日)で「フェンスに吹く風」を演じるのを前に、基地と県民が住む地を隔てるフェンスの高さ、設置された有刺鉄線の向き、基地とその外を吹く風などを肌で感じ、その感覚を舞台で表現することを目指した。生徒はフェンス越しに広がる基地を目の当たりにして「基地と住宅が隣にある違和感がすごい」と少し驚いた様子だった。
演劇部は最初に米軍ヘリが墜落した沖縄国際大学を訪問した。墜落現場に立ち、本紙の特集紙面などを参考にしながら当時の状況を探った。その後、基地が一望できる佐真下公園に立ち寄り、大謝名の住宅街にある米軍基地のフェンスを目の当たりにした。墓や公園がある中を横切るようにフェンスがそびえ立っており、生徒はその違和感を肌で感じ取っていった。
顧問の又吉弦貴教諭は「国道58号を走る時に、基地を横目に見るのとは違う。その距離感を舞台でも出してほしい」と話した。
フェンスを見上げていた3年生の呉屋まなみさんは「フェンスが思ったよりも低く感じた。でもネズミ返しがこちら側に向かっている」と困惑した様子。「きょうみんなで訪れて感じた空気を、(全国の)舞台でも伝えていきたい。基地の存在を見る人に問題提起できたら」と語気を強めた。中文祭での演劇を終えた仲本可奈さんは「基地があるから問題も起こるし、交流もある。問題解決ではなく、まずは基地問題について考えてほしいと思い演じた。その思いが観客に伝わってほしい」と願った。
(玉城文)