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防災備蓄品、常に新鮮、停電時も稼働 元・消防官の兄弟がコンサル起業 沖縄<東日本大震災13年>


防災備蓄品、常に新鮮、停電時も稼働 元・消防官の兄弟がコンサル起業 沖縄<東日本大震災13年> 「防災に関わってきた経験を地域課題の解決に生かしたい」と語る兄で業務執行社員の宮平辰史さん(左)と代表社員の辰義さん=6日、豊見城市内
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 元消防官の宮平兄弟が立ち上げた防災コンサルティング会社「MIYA CREATE.」(ミヤクリエイト、那覇市)は8日、開発した「流通在庫備蓄倉庫」を那覇市おもろまちの新都心公園内に初設置した。1基目の実証を経て、5年間で県内外に100基の販売・設置を目指す。

 倉庫は自動販売機を併設。通常は飲料水を一般販売し、業務委託するメーカーが倉庫内の保存商品から補充していく仕組み。災害発生時には無償提供に切り替えることができる。

 自治体は備蓄品を学校など指定避難所の倉庫に保管。使用されることはほとんどなく、賞味期限切れで廃棄されるといった課題に着目した。備蓄分から自販機内に入れていくため、備蓄が常に更新される。廃棄量を減らし、財政負担の軽減も図る。飲料以外の食品への応用も検討している。

 電力は屋根に付けた太陽光パネルで発電し蓄電池にたまる。兄の辰史(たつふみ)さん(41)と弟の辰義(たつよし)さん(39)は「災害時に無償供給する自販機は既にあるが、停電時は使えなくなる。能登半島地震でも動かなくなったと聞いた。この仕組みなら解決できる」と説明する。

 倉庫にはデジタルサイネージ(電子看板)を取り付け、通常は一般広報、災害時には気象や安否など情報発信機能を持たせる。備蓄品がなくなった後も蓄電池の電力を住民らが使用できる。

 設立から約1年。今後、コンサル業務に合わせ、備蓄倉庫のほか、防災関連商品の開発で事業拡大を目指す。防災について遊びながら学べるカードゲームも制作中だという。

 辰史さんは「防災は専門性が高い。全国でも支援を専門にする企業は多くないと思う。県内だけでなく県外でも事業ができればと思っている」と語った。辰義さんは「防災備蓄はどの地域にも共通する課題。その解決に貢献したい」と力を込める。

 (謝花史哲)